報告!朽木でずっと残していきたいものってなんだろう 第3回残したい風景や暮らし、ことやものについてお話しましょう
2017年07月07日
たかしま市民協働交流センターの坂下です。
朽木住民福祉協議会と連携し、「朽木のみんなと円卓会議」を運営しています。
「安心していつまでも朽木で暮せる」地域のために、地域の人々は何ができるのか、どんな将来の朽木地域を描くのか、子どもも大人もともに考え、話し合う場づくりをしています。
平成27年度からの経過は「朽木のみんなと円卓会議」の取り組みをご覧ください。
朽木の針畑地域で平成28年10月から3回、さまざまな世代の人が朽木の昔を知り、今の朽木を確認し、これからの朽木について考える機会を、昔の写真や最近の写真など、写真を入り口にして取り組みました。
2月6日(月)に朽木西小学校官舎で実施した、第3回「残したい風景や暮らしなど、朽木で残したいことやものについてお話しましょう」の報告を、総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤さんからしていただきます。
開催案内はこちらをご覧ください。
京都は北区の上賀茂にある総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤です。
平成28年10月から翌年2月にかけて針畑地域で実施した、古写真を使った3回のワークショップについてご報告します。
朽木で、ずっと残していきたい風景や行事や人のつながりなどについて、楽しみながら考える場を持ちたいと、古写真(昔の写真)を使ったワークショップ「朽木で、ずっと残していきたいものってなんだろう」を実施しました。この場が、過去の朽木について理解を深めながら、現在、そして未来について考えるきっかけとなること、また、古写真をとおして世代間のつながりづくりになることを目標として企画しました。
平成28年7月から9月に、市場集会所で実施した古写真を使ったワークショップは、朽木市場地区に近い地域の古写真を用いて、30代から70代の方々のべ46名が朽木に残していきたいものやことについて話をしました。
報告は下記のリンクからご覧ください。
「朽木でずっと残していきたいものってなんだろう 世代をつなぐ朽木の今昔写真」
第1回「昔の写真を見て語ろう
第2回「今の写真を撮って、昔の写真と比べてみよう」
第3回「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」
をご覧ください。
10月29日に実施しました、第1回「昔の写真を見ながら、お話しましょう」の報告で、ワークショップ3回の構成や準備について掲載していますのでご覧ください。
11月19日に実施しました、第2回「針畑地域でここが変わったなと思える風景や暮らしの写真を持ち寄り、お話しましょう」の報告もあわせてご覧ください。
さて、第3回は、「『残していきたいもの』を語らう」を目的に雪降る中、朽木西小学校官舎にて16名の方にご参加いただき実施しました。
今回も案内人は、地球研の気候適応史プロジェクトの研究員(現在は上級研究員)で歴史学が専門の 鎌谷かおるさんです。
地域に「残していきたいもの」とは何なのかを考えるために、前半、第1回と第2回で見ていただいた写真をふりかえり、今と昔の風景や人々の様子から「針畑は何でできているのか」を考えました。写真で切り取られたいろいろな「場面」とその変化から、針畑の方々がこれまで何とつながってきたのかに気づき、どのつながりを、どのように残していきたいのかを考えるためです。
写真は、「自然とのつながり」、「(針畑)地域内のつながり」、「(針畑地域と)他の地域とのつながり」、「人とのつながり」という視点から紹介しました。
写真で切り取られた場面を紹介しています。

後半は、「針畑の魅力をどうやって伝えるか」を考えました。
テーマを「未来の針畑で暮し、生きるかもしれない人たちに魅力を伝える」という設定でワークを行うことにしました。このような設定によって、参加者が「未来の針畑に残していきたいもの」を考えやすくなるのでは、と考えたからです。
また、誰に魅力を伝えるのか、伝える相手が具体的な方が考えやすくなりますので、「針畑に移住しようか迷っている若い夫婦に語りかける」と設定しました。夫婦が道の駅くつき新本陣から、不動産屋さんの用意した「バス」に乗り、各地区を訪ねて回ります。参加者は、自分が住んでいる地区にバスが着いたら、その夫婦に対して針畑の魅力を一言で伝える「殺し文句」を語りかける、ということにしました。
せっかくなので、少しでも臨場感を高めたいと、事前に道の駅から針畑地域をぐるりと回って大津市葛川梅ノ木町の国道367号線との交差点に至る道のりを動画で撮りました。まるで夫婦がバスから見ているように、道のりを映像で見ながら、各地区に着いたらその魅力を伝えていただきました。

参加者に示されたお題とルールは、以下に示す通りです。
さて、どのような「殺し文句」が語られたのでしょうか。
針畑の自然に注目して言葉を紡いでくださったのは、小入谷、中牧、古屋の各地区にお住まいの方々でした。合作で「殺し文句」を考えてくれました。
「針畑はちょっと不便やけど、自然が多いし、水も空気も美味しいよー・・・ま、雪は降るし、積雪は多いし、バスはしょっちゅう止まるし、せやけど、せやけど雪景色がきれい」。
3名の方々から紡がれた言葉は、不便さ、ときには動物による被害といったものと引き替えに、得られる自然の多さと美しさは変え難いといったものでした。
そして、針畑に住む上での目的や目標に注目した言葉を紡いでくれたのは、別の3名の方々でした。
たとえば、小入谷に住まわれている方が投げかけたのは・・・
「・・・・周りの環境、周りにある生活に、ある程度合わせたら別に問題ないし。そんで、自分がどういう思いでここへ住もうかな、住んでみようかな、と思って来たかという気持ちが、一番問題だと思うんですよね。・・・自分で好んでここに住むと」
「いろんな生活のことも、食事のことも、あるいは、車ないと住めへんとか、いろんなん(いろんなこと)あると思うけど、それらも全部踏まえて、やっぱり自分もこういう田舎を求めて、・・・住みたいなと思う人だったら、若くても十分住めると思うんですね」
「人それぞれ、いろんな目的があると思うのね。別に一から十まで田舎の人に合わす必要ないやろうし、自由気ままに住める。逆に言うたら、住めるところがここなんだ、と思うんですね・・・」
3名の方々から紡がれた言葉は、目的や目標を持っていることが大事で、ここでの暮しを選んだことを思って生活していけば、そんなに大変なことではないといったものでした。
発表の様子です。

朽木地域の最も奥の地域で、みなさん「~やけど」のニュアンスをどこかに含みつつ、若い夫婦に針畑の魅力をアピールしてくださいました。
終了後のアンケートでは、「全体にポジティブな話が多くあった。」とのコメントが寄せられました。確かにそのような雰囲気の中で語られた、それぞれの「殺し文句」だったと思います。その一方、「針畑の未来について良いイメージを描けない(こと)に残念な気持ち」とのコメントも寄せられました。紡ぎ出された言葉たちは、どんなにポジティブなものであっても、未来について良いイメージが描けないことと背中合わせの状況から生まれたもの。これをどのように受け止めて前に進めばよいのか、本当に難しい課題です。
今後のワークショップへの要望には、「新しい家族(移住者)たちがここで暮すことが、できるように何が出来るかについて話す場がほしい。」「話すだけでなく、この地域をいろいろ見る機会を作った方が良い気がする。」「他市町での事例も参考にさせていただきたい。」といったものがありました。
さて、果たしてみなさんの「殺し文句」は夫婦の心に届いたのでしょうか。夫婦が移住を決めたとすれば、それにはきっと理由があるはず。そして、それが分かれば、私たちがこれからすべきことが見えてくるのではないでしょうか。次には、これを探ることができるような内容のワークショップを企画していきたいと思います。寄せていただいた要望には、次の企画を考える上で重要なヒントがたくさん含まれているように思います。ぜひ活かしていきたいですし、一緒に考えていければ幸いです。
ワークショップで行ったこと、見えてきたことについて、5月21日(日)に高島市森林公園くつきの森の「ユリノキ祭」でポスターにして展示しました。
針畑地区での取り組みをまとめたポスターはこちらから見ていただけます。
最後になりましたが、ワークショップに参加してくださったみなさん、写真を貸し出してくださったみなさん、ありがとうございました。そして、今年度も引き続きよろしくお願いいたします。
主要参考文献
[1] 朽木村史編さん委員会『朽木村史 通史編』, 高島市, 294pp.,2010
[2] 朽木村史編さん委員会『朽木村史 資料編』, 高島市, 264pp.,2010
朽木住民福祉協議会と連携し、「朽木のみんなと円卓会議」を運営しています。
「安心していつまでも朽木で暮せる」地域のために、地域の人々は何ができるのか、どんな将来の朽木地域を描くのか、子どもも大人もともに考え、話し合う場づくりをしています。
平成27年度からの経過は「朽木のみんなと円卓会議」の取り組みをご覧ください。
朽木の針畑地域で平成28年10月から3回、さまざまな世代の人が朽木の昔を知り、今の朽木を確認し、これからの朽木について考える機会を、昔の写真や最近の写真など、写真を入り口にして取り組みました。
2月6日(月)に朽木西小学校官舎で実施した、第3回「残したい風景や暮らしなど、朽木で残したいことやものについてお話しましょう」の報告を、総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤さんからしていただきます。
朽木でずっと残していきたいものってなんだろう
第3回「残したい風景や暮らしなど、朽木で残したいことやものについてお話しましょう」
第3回「残したい風景や暮らしなど、朽木で残したいことやものについてお話しましょう」
開催案内はこちらをご覧ください。
京都は北区の上賀茂にある総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤です。
平成28年10月から翌年2月にかけて針畑地域で実施した、古写真を使った3回のワークショップについてご報告します。
朽木で、ずっと残していきたい風景や行事や人のつながりなどについて、楽しみながら考える場を持ちたいと、古写真(昔の写真)を使ったワークショップ「朽木で、ずっと残していきたいものってなんだろう」を実施しました。この場が、過去の朽木について理解を深めながら、現在、そして未来について考えるきっかけとなること、また、古写真をとおして世代間のつながりづくりになることを目標として企画しました。
平成28年7月から9月に、市場集会所で実施した古写真を使ったワークショップは、朽木市場地区に近い地域の古写真を用いて、30代から70代の方々のべ46名が朽木に残していきたいものやことについて話をしました。
報告は下記のリンクからご覧ください。
「朽木でずっと残していきたいものってなんだろう 世代をつなぐ朽木の今昔写真」
第1回「昔の写真を見て語ろう
第2回「今の写真を撮って、昔の写真と比べてみよう」
第3回「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」
をご覧ください。
10月29日に実施しました、第1回「昔の写真を見ながら、お話しましょう」の報告で、ワークショップ3回の構成や準備について掲載していますのでご覧ください。
11月19日に実施しました、第2回「針畑地域でここが変わったなと思える風景や暮らしの写真を持ち寄り、お話しましょう」の報告もあわせてご覧ください。
さて、第3回は、「『残していきたいもの』を語らう」を目的に雪降る中、朽木西小学校官舎にて16名の方にご参加いただき実施しました。
今回も案内人は、地球研の気候適応史プロジェクトの研究員(現在は上級研究員)で歴史学が専門の 鎌谷かおるさんです。
地域に「残していきたいもの」とは何なのかを考えるために、前半、第1回と第2回で見ていただいた写真をふりかえり、今と昔の風景や人々の様子から「針畑は何でできているのか」を考えました。写真で切り取られたいろいろな「場面」とその変化から、針畑の方々がこれまで何とつながってきたのかに気づき、どのつながりを、どのように残していきたいのかを考えるためです。
写真は、「自然とのつながり」、「(針畑)地域内のつながり」、「(針畑地域と)他の地域とのつながり」、「人とのつながり」という視点から紹介しました。
写真で切り取られた場面を紹介しています。

後半は、「針畑の魅力をどうやって伝えるか」を考えました。
テーマを「未来の針畑で暮し、生きるかもしれない人たちに魅力を伝える」という設定でワークを行うことにしました。このような設定によって、参加者が「未来の針畑に残していきたいもの」を考えやすくなるのでは、と考えたからです。
また、誰に魅力を伝えるのか、伝える相手が具体的な方が考えやすくなりますので、「針畑に移住しようか迷っている若い夫婦に語りかける」と設定しました。夫婦が道の駅くつき新本陣から、不動産屋さんの用意した「バス」に乗り、各地区を訪ねて回ります。参加者は、自分が住んでいる地区にバスが着いたら、その夫婦に対して針畑の魅力を一言で伝える「殺し文句」を語りかける、ということにしました。
せっかくなので、少しでも臨場感を高めたいと、事前に道の駅から針畑地域をぐるりと回って大津市葛川梅ノ木町の国道367号線との交差点に至る道のりを動画で撮りました。まるで夫婦がバスから見ているように、道のりを映像で見ながら、各地区に着いたらその魅力を伝えていただきました。

参加者に示されたお題とルールは、以下に示す通りです。
【お題】
「30代の夫婦が針畑に移住しようか迷っています。
あなたなりの『殺し文句』を言ってください。
ただし、以下の言い回しでお願いします。」
☆ルール☆
以下の言い回しでお願いします。
「針畑は~やけど、~やでえ」
「30代の夫婦が針畑に移住しようか迷っています。
あなたなりの『殺し文句』を言ってください。
ただし、以下の言い回しでお願いします。」
☆ルール☆
以下の言い回しでお願いします。
「針畑は~やけど、~やでえ」
さて、どのような「殺し文句」が語られたのでしょうか。
針畑の自然に注目して言葉を紡いでくださったのは、小入谷、中牧、古屋の各地区にお住まいの方々でした。合作で「殺し文句」を考えてくれました。
「針畑はちょっと不便やけど、自然が多いし、水も空気も美味しいよー・・・ま、雪は降るし、積雪は多いし、バスはしょっちゅう止まるし、せやけど、せやけど雪景色がきれい」。
3名の方々から紡がれた言葉は、不便さ、ときには動物による被害といったものと引き替えに、得られる自然の多さと美しさは変え難いといったものでした。
そして、針畑に住む上での目的や目標に注目した言葉を紡いでくれたのは、別の3名の方々でした。
たとえば、小入谷に住まわれている方が投げかけたのは・・・
「・・・・周りの環境、周りにある生活に、ある程度合わせたら別に問題ないし。そんで、自分がどういう思いでここへ住もうかな、住んでみようかな、と思って来たかという気持ちが、一番問題だと思うんですよね。・・・自分で好んでここに住むと」
「いろんな生活のことも、食事のことも、あるいは、車ないと住めへんとか、いろんなん(いろんなこと)あると思うけど、それらも全部踏まえて、やっぱり自分もこういう田舎を求めて、・・・住みたいなと思う人だったら、若くても十分住めると思うんですね」
「人それぞれ、いろんな目的があると思うのね。別に一から十まで田舎の人に合わす必要ないやろうし、自由気ままに住める。逆に言うたら、住めるところがここなんだ、と思うんですね・・・」
3名の方々から紡がれた言葉は、目的や目標を持っていることが大事で、ここでの暮しを選んだことを思って生活していけば、そんなに大変なことではないといったものでした。
発表の様子です。

朽木地域の最も奥の地域で、みなさん「~やけど」のニュアンスをどこかに含みつつ、若い夫婦に針畑の魅力をアピールしてくださいました。
終了後のアンケートでは、「全体にポジティブな話が多くあった。」とのコメントが寄せられました。確かにそのような雰囲気の中で語られた、それぞれの「殺し文句」だったと思います。その一方、「針畑の未来について良いイメージを描けない(こと)に残念な気持ち」とのコメントも寄せられました。紡ぎ出された言葉たちは、どんなにポジティブなものであっても、未来について良いイメージが描けないことと背中合わせの状況から生まれたもの。これをどのように受け止めて前に進めばよいのか、本当に難しい課題です。
今後のワークショップへの要望には、「新しい家族(移住者)たちがここで暮すことが、できるように何が出来るかについて話す場がほしい。」「話すだけでなく、この地域をいろいろ見る機会を作った方が良い気がする。」「他市町での事例も参考にさせていただきたい。」といったものがありました。
さて、果たしてみなさんの「殺し文句」は夫婦の心に届いたのでしょうか。夫婦が移住を決めたとすれば、それにはきっと理由があるはず。そして、それが分かれば、私たちがこれからすべきことが見えてくるのではないでしょうか。次には、これを探ることができるような内容のワークショップを企画していきたいと思います。寄せていただいた要望には、次の企画を考える上で重要なヒントがたくさん含まれているように思います。ぜひ活かしていきたいですし、一緒に考えていければ幸いです。
ワークショップで行ったこと、見えてきたことについて、5月21日(日)に高島市森林公園くつきの森の「ユリノキ祭」でポスターにして展示しました。
針畑地区での取り組みをまとめたポスターはこちらから見ていただけます。
最後になりましたが、ワークショップに参加してくださったみなさん、写真を貸し出してくださったみなさん、ありがとうございました。そして、今年度も引き続きよろしくお願いいたします。
主要参考文献
[1] 朽木村史編さん委員会『朽木村史 通史編』, 高島市, 294pp.,2010
[2] 朽木村史編さん委員会『朽木村史 資料編』, 高島市, 264pp.,2010
タグ :朽木のみんなと円卓会議
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Posted by たかしま市民協働交流センター at 17:40
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