朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)

2018年06月04日

朽木の未来へつなぐ物語づくり 報告(その1)

 たかしま市民協働交流センターは、朽木住民福祉協議会のみなさんと一緒に、朽木住民福祉活動計画を具体化するための取り組みとして、2015年度より「朽木のみんなと円卓会議」を実施してきました。

 2015年は「朽木でずっと伝えていきたいものってなんだろう」をテーマに、朽木の伝統保存食「へしこ」を使って、さまざまな年代の方が一緒に、へしこの漬け方、へしこの食べ方、へしこを使った新しいメニューづくりをして、朽木地域で伝えていきたいものやことについて対話をしました。
 小さなお子さん連れのママ・パパから60代の方まで、のべ40名の参加者がへしこ料理を一緒に調理して、食べて、朽木地域のことを対話しました。
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)
 
 2016年は「朽木でずっと残していきたいものってなんだろう~世代をつなぐ朽木の今昔写真」をテーマに、市場地域と針畑地域で、地域の昔の写真を使って、みんなで朽木地域に残していきたいものやことについて対話しました。
 昔の写真を見ながら暮らしや学校、産業などについて高齢の方からお話を聞き、昔の写真と今の風景を見比べて、何が変わったのか気づいたことを対話しました。時とともに変化してきた朽木地域を知った後、未来に残したいものやことについて、未来の朽木地域に暮す人へのメッセージとして参加者同士で発表しました。針畑地域では、移住を考えている若い夫婦へ地域の自慢を伝えるメッセージを考えました。
 お子さん連れのママから80代の方まで、のべ70名の参加者が、朽木でずっと残したいものや祭りなどの行事、風景などについて対話しました。
 また、朽木地域で中学生以上の住民を対象にした朽木地域意識調査も実施しました。
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)

 これまでの朽木のみんなの円卓会議の報告をご覧ください(別ウインドウで開きます)

 2017年は、朽木の未来を語り合える場を作りたいと「朽木の未来へつなぐ物語づくり」をテーマに開催しました。
 朽木地域の30年後のありたい風景や暮らし、産業などを想像し、お互いにどんなことやものを大切にしたいと思っているのか、そして今から何をすれば、ありたい未来につながるのかを対話する目的で実施しました。

 朽木の未来への地域ストーリーづくり勉強会を開催しました。
 6月17日(火)19:30~21:30
 朽木公民館
 参加者 11名
 
 まずは、なぜ未来への地域ストーリーづくりを企画しているのかお話をしました。
 地域の未来を想像して、どんな未来の暮らしや仕事や祭りなどがあるといいかな・・・と考え、地域の人々が対話をすることで、自分たちが大事にしたいこと、地域の価値などに気づく機会になります。また、今から未来へつながるストーリーを考えることで、今からできることについて考え、対話することができます。さまざまな人が一緒に、朽木の大事にしたいこと、今からできることを対話できる機会をつくりたいと思います。

 今回のワークでは、参加者に3つのグループに分かれていただき、テーマを選んで話し合っていただきました。
 テーマは、2016年度の「朽木でずっと残していきたいものってなんだろう」ワークや「朽木地域意識調査」の結果から提示させていただきました。

「朽木でずっと残していきたいものってなんだろう」の報告をご覧ください(別ウインドウで開きます)
「朽木地域意識調査」の結果をご覧ください(別ウインドウで開きます)

(1)3グループに分かれて、それぞれにお題を選択、チーム名もつけました。
  「田園風景を残したい」(田園風景チーム)
  「栃餅を残したい」(栃餅チーム)
  「何を残すのか」(針畑チーム)

 人口減少、高齢化、技術の進歩、気候の変化など、推測される未来に関するデータを地球研の熊澤さんから説明していただきました。
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)
・インターネット回線が広がり、働き方が変わる
・ドローンや自動運転技術が確立して、物の輸送、人の移動が変わる
・ロボット技術や自動化が進み、農業や工業の生産が変わる
・3Dプリンターで、必要な物が誰でも、どこでも作れる
・体内埋め込み型センサーが普及し、健康管理や情報管理が変わる
・シェアリング技術によって、車や機械などのシェアが広がる 

 限られた時間でしが、それぞれのグループでストーリーを考えて、最期に発表していただき、発表されたストーリーについて質問していきました。

(2)ストーリーの発表
「田園風景を残したい」
 2047年、京都在住のIT企業に勤める青年が、小浜での海水浴の帰りに、てんくう温泉に立ち寄った。そこで、温泉の受付にいた3歳年上のエルさんに一目ぼれ。どうしても一緒になりたいと思いました。
 エルさんは、大農家の一人娘さん。外へ嫁ぐことはできません。うちに来てもらえるなら一緒になれるのだけれど・・・ということで、青年は結婚を機に朽木へ。IT企業の勤めは継続しながら、農業も始めました。
 この時代の農業は、IT技術とドローンを使って、生育の管理などができるようになっており、仕事と農業の両立も十分できます。米は高級ブランド米として販売できています。ドローンでの大規模な管理と箱庭的な水田の風景になっていますが、田園風景は残ります。

質問1) 大農家の設定はなぜ?農業を継続するには大地主でないと無理だから?
    朽木では大地主はおられますか?     
回答1) 人口が減り、農業から離れる人も多くなり、結果的に栽培を請負うなど農業
    経営者に土地が集約されて大地主になったと設定しました。
質問2) てんくう温泉は残っていますか?
回答2) 朽木観光のメイン私設であり、もし湯が出なくなっても、また掘って継続して
    いるかな。
質問3) ドローンでの栽培と箱庭的な田園風景と設定されたわけは?
回答3) 大規模な農業でドローンで管理する所と朽木らしい小規模な農業の風景も
    残したいという、二刀流で考えました。

「栃餅を残す」
 時は2017年。栃餅を生産する家に生まれたオーくん。好青年で家業も熱心に手伝っています。高島市で開催された婚活パーティーで、ある女性と仲良くなりました。その女性は朽木が大好きで、何度も朽木に来ており、栃餅も大好きでした。
 この女性との出会いでオーくんの人生が大きく変わります。オーくんは退職して、栃餅づくりに専念することにしました。
トチの実が減っている現状に対しては、トチノキの植林を始め、量を増やしていきました。実を拾う時期や実のつき具合などは、ドローンで管理しています。拾う作業もドローンで作業できるように開発されています。アク抜き用の広葉樹林の灰も減少していますが、少ない灰でアク抜きできる方法を研究します。杉などの灰でもアク抜きできる研究も進めます。さらに、全く異なる方法で、灰を使わずにアク抜きする研究も進めています。
 栃餅の生産工場はロボットで生産しています。栃餅以外にも多種類の餅を生産し、雇用も増やしています。

質問1) 植林をするのはだれですか?どこに植えますか?
回答1) 雲洞谷の大谷で植えます。オーくんが植えますが、地元の林業家と一緒に
    植えています。例えば、新旭の針江のような湧き水を利用している人が水源
    の森の植林に協力するとか、いろんな人を巻き込んで植林をするイベントな
    ども実施します。オーくんが得意なことでもあります。
質問2) アク抜きの研究は自分でしますか?
回答2) 大学研究者などと一緒に、針葉樹の灰を使うとか、全く灰を使わないアク抜
    きの方法などを研究できればと思います。現在は灰が減り、灰を集めるため
    に薪ストーブユーザーからもらったり、外部から購入している状態ですので。

朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)

「針畑に残るもの」
 なかなかストーリーにはならなかった。
 今の針畑地域では、60代で退職後に針畑へ戻ってこられた人が最も若い。30年後の針畑は、針畑で生まれ育った人は一人もいなくなるのが現状です。そうなると従来の集落の延長線上の地域は無くなっていると言えます。従来の集落のように、血のつながり、地縁のつながりで生きている人が住む地域は無くなっていると思われます。従来のような集落が無くなっている状況の中で「何を残していくのだろう」と考えました。
 何が残せるのかと考えると、文化的な行事が残こせるのではと思いました。
 六斎念仏は、現在、継承者の孫世代が引き継ごうという機運が高まっていると聞いています。おそらく、継承されていくだろうと思いますが、それはその地に暮らし、住んだ人が継承してきた形とは異なる形での継承になるでしょう。
 針畑地域の30年後には、どんな暮らしがあるだろうか?これまでのコミュニティのあり方とは異なるものになると思われ、どんな人が住んでいるか?、産業も何が残っているのか?と、想像ができない感じでした。
 針畑に住もうと考え、移住する人は、多様な価値感を持っているだろうと想像されます。多様な価値感を持つ人々が、さまざまに関心を向けながら住む地域社会となるだろうと思われます。その中で核になり、生き続けるものは「小学校」ではないかと思います。
 30年後も小学校が人を寄せ付けるきっかけになるのではと考えました。この針畑地域で子どもを育てたいと思う人が暮す地域になるのではと思います。それぞれの生活基盤や仕事を外部に持ちながら、小学校で子どもを育てたい人が集まる地域となるかもしれない。
 ところが、30年後の小学校の形態は大きく変わっているかもしれません。
 はたして、30年後に朽木西小学校は残っているのか・・・というところまで話していました。

質問1) 他のチームの方へ質問したい。針畑地域で30年後に核となるような産業
    は想像できますか?針畑では水田が小さく、集約化も難しいと思います。
回答1) 米は針畑地域のブランドになっているので、集約化して農業は継続できるの
    ではないかと思います。
針畑チーム) 一部の有機農業生産米は高くなっているが、全部ではない。
      針畑は福島県くらいの気候らしいが、温暖化の影響があり、今後の生
      産がどうなるか・・・。
      鯖街道観光は、注目されていますが、生活を支えるほどになるかは、
      難しいかな。   

 限られた時間での勉強会で、参加された人たちにとって30年後の地域を考えるのは難しいという感想をいただきました。
 実際に、参加者を募って未来へのストーリーづくりをする場合は、じっくりと話せる時間を取る必要があることが分かりました。

 またこの後、朽木地域で活動する市民グループに会いに行き、朽木らしさや未来に残したいものやことなどを聞き取り、みなさんから聞いた内容もストーリーづくりの素材にしていくことにしました。

 11月の朽木文化祭では、地域の女性グループが演劇「お笑い水戸黄門」を発表されましたが、この勉強会の「栃餅を残したい」で考えられたストーリーを参考にシナリオを作られたそうです。

 朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その2)へ続きます(別ウインドウで開きます)




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Posted by たかしま市民協働交流センター at 15:33 │たかしま・未来・円卓会議報告