報告!朽木でずっと残していきたいもの 世代をつなぐ朽木の今昔写真 第2回「今の写真を撮って昔の写真と比べてみよう」
2016年12月07日
たかしま市民協働交流センターの坂下です。
朽木住民福祉協議会と連携し、「朽木のみんなと円卓会議」を運営しています。
「安心していつまでも朽木で暮せる」地域のために、地域の人々が何ができるのか、どんな将来の朽木地域を描くのか、子どもも大人もともに考え、話し合う場づくりをしています。
「朽木のみんなと円卓会議」の取り組みをご覧ください。
7月から3回の予定で、さまざまな世代の人が朽木の昔を知り、今の朽木を確認し、これからの朽木について考える機会を、昔の写真や最近の写真など、写真を入り口にして取り組みました。
8月20日(土)に開催しました第2回「今の写真を撮って昔の写真と比べてみよう」の報告を、総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤さんからしていただきます。
開催案内はこちらをご覧ください。
こんにちは。京都は北区の上賀茂にある総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤です。
今年度の「朽木のみんなと円卓会議」は、朽木で、ずっと残していきたいものや伝えたいものについて、楽しみながら考える場を持ちたいと、古写真(昔の写真)を使ったワークショップ「世代をつなぐ 朽木の今昔写真」を企画しました。この場が、過去の朽木について理解を深めながら、今、そして未来について考えるきっかけとなること、また、古写真を介して、できれば世代間でのつながりを築けるようになることを目標として企画しました。
今年度は、7月~9月に朽木のなかでも市場、野尻、荒川、岩瀬、宮前坊といった朽木市場に比較的近い地区の写真を用いて市場集会所で行う企画と、10月~12月に針畑地域の写真を用いて針畑で実施する企画の二つを行う計画です。
ワークショップは以下の3回シリーズで構成されています。
第1回:「昔の写真を見て語ろう」
ちょっと昔の朽木市場周辺の風景や人々、町の様子などの写真を見ながら、「朽木の何が変わって、何が残ったのか」を話し合います。
第2回:「今の風景を撮って昔の写真と比べてみよう」
古写真に写っている場所を参加者が実際に訪ね、写真を撮り、風景や暮らしの中で、変わったもの、変わらないものなどについて話し合います。
第3回:「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」
参加者に「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」を持ち寄ってもらい、この写真を手がかりに、「朽木でずっと残していきたいものとは何か?」を考えます。
第1回で過去を知り、第2回で現在をとらえ直すことで、第3回で未来に向けて働きかけるというのが、この企画の全体像です。
案内人は、地球研の気候適応史プロジェクトの研究員である鎌谷かおるさんです。
鎌谷さんは、歴史学の研究者で、滋賀県高島市マキノ町知内をフィールドに、古文書や民俗資料を用いた歴史研究をしています。
第2回目は、「現在をとらえ直す」ことを目的に、11名の方に参加いただきました。
・古写真の場所を訪ね、現在の写真を撮る。
・写真を比較しながら考えたことについてのグループ別に対話する。
まず、グループごとに違う古写真をお渡しし、その写真と同じ地点・アングルで現在の写真を撮ってくるワークを行いました。
4グループに分かれて古写真を手にそれぞれスタッフの車に分乗し、正解と思われる場所を参加された方々自身が指定して車で向かいました。
8月の日差しの中、この写真はきっとあそこだな・・・と出発されました。あまりに近くではすぐに分かってしまいますので、車で5分くらいの範囲から昔の写真を選びましたが、みなさん確信持って出かけて行かれ、写真を撮って、30分ほどで会場に戻ってこられました。
全員が戻られたところで、正解を確認しました。撮影場所については全てのグループが正解されました。
その後、グループで、昔の写真を見ながら、今の風景を見に行き、考えたこと、気づいたことなどについて対話を行い、お互いに発表しました。
1グループ目は、宮前坊区にある邇々杵(ににぎ)神社の例大祭を写した昭和32年の写真でした。
参加された方は、写真に写っている方の名前まで挙げられていました。
実は、この写真、現在は本殿に移設された鳥居が御旅所にあった当時の写真なんです。現在は鳥居が本殿に移設されており、思わず本殿に向かって写してしまう仕掛けになっていました。このグループも本殿に向かって撮影して来られたのですが、宮前坊の方でもこの写真を見られて「あぁ、昔、鳥居があったんやったー」と気づかれたくらいでした。歴史的な経緯を知らないと難しい問題でしたが、それでもこのグループの方々は、「山の形を最後まで疑問に思っていた」、と言われてました。あと、「蔵は長持ちするな」「馬は長尾から借りてきていた」といった話が対話の中で出たそうです。
2枚目は、高岩橋に至る道路の筋が変わったという写真でした。写真2は現在のものです。この班の対話では、荒川発電所の水路を通って郵便を運んだという話が出たそうで、とても驚きました。
3枚目は、岩瀬の街並みを写した写真でした。
1枚目ほどではないものの、少し向きがわかりにくい写真だと思ったのですが、あちこち回って試すことなく正解の写真を撮って来られました。この班の方によると、「じっさいに同じ場所に立って改めて古写真を見て気づくことがある。シコブチさんのあれ(石碑が見えること)は同じ場所に立たないとわからなかった。」ということでした。この写真は、誰も写っていない、普通の風景の写真です。それだけに、「誰が、何のために(撮ったのか)?不思議だなあ。」という感想を持たれていました。確かに、古写真ということで風景の写真も何気なく選んでいましたが、改めて考えると何で撮られたのでしょう?、とたずねてみたくなりますね。
4枚目は、朽木村制100周年を記念して「グリーンパーク想い出の森」の一画に埋めた「タイムカプセル」の写真でした。
当時の記念写真と同じポーズで写真を撮ってこられました。
今は、すでに消えかかっているプレートを見つつ、タイムカプセルが開くのは50年後の2039年だと聞いて、「誰が覚えているねん」「我々だけでも覚えておかな」という話になりました。また、参加者から、当時のお金や家族の写真などを入れたという話を聞くことができました。
第2回は、古写真の撮影地の現在を見る中で、気づきと疑問を共有できた回となりました。
写真には、それを撮った人、写された人、見る人がいます。こういった人とのかかわりの視点で見ますと、「私」とのかかわり、「過去の人」とのかかわり、「未来の人」とのかかわりということが大事になってくるのではないでしょうか。写真は、単に写っているものとして見るのではなく、こういった時空を超えた人とのつながりを意識しながら見ていけたらよいですね。
参加された方からも「写真1枚にもいろいろな物語がありそう」といった感想いただきました。
また、「1ヶ所だけではなく、時間があればもう何ヶ所か行ってみたかったです。」という感想もいただきました。裏を返せば、皆で同じ体験をして共有することが、やはり重要なのではないか、ということだと思います。
「家にある古写真を探してみたいと思う。」という方もおられました。
それから、「このあとどういう風に、何か『まちづくり』のようなものにつなげていけるのか、ただ昔の写真を見て終わるだけではもったいないと思う」とのコメントもいただきました。重要なコメントだと思います。
古写真のワークショップで得られたことを、次のステップにどのように生かしていくのか、きちんと考えていかなければと思いました。
第1回「昔の写真を見て語ろう」の様子はこちらをご覧ください。
第3回「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」の様子はこちらをご覧ください。
朽木住民福祉協議会と連携し、「朽木のみんなと円卓会議」を運営しています。
「安心していつまでも朽木で暮せる」地域のために、地域の人々が何ができるのか、どんな将来の朽木地域を描くのか、子どもも大人もともに考え、話し合う場づくりをしています。
「朽木のみんなと円卓会議」の取り組みをご覧ください。
7月から3回の予定で、さまざまな世代の人が朽木の昔を知り、今の朽木を確認し、これからの朽木について考える機会を、昔の写真や最近の写真など、写真を入り口にして取り組みました。
8月20日(土)に開催しました第2回「今の写真を撮って昔の写真と比べてみよう」の報告を、総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤さんからしていただきます。
開催案内はこちらをご覧ください。
こんにちは。京都は北区の上賀茂にある総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤です。
今年度の「朽木のみんなと円卓会議」は、朽木で、ずっと残していきたいものや伝えたいものについて、楽しみながら考える場を持ちたいと、古写真(昔の写真)を使ったワークショップ「世代をつなぐ 朽木の今昔写真」を企画しました。この場が、過去の朽木について理解を深めながら、今、そして未来について考えるきっかけとなること、また、古写真を介して、できれば世代間でのつながりを築けるようになることを目標として企画しました。
今年度は、7月~9月に朽木のなかでも市場、野尻、荒川、岩瀬、宮前坊といった朽木市場に比較的近い地区の写真を用いて市場集会所で行う企画と、10月~12月に針畑地域の写真を用いて針畑で実施する企画の二つを行う計画です。
ワークショップは以下の3回シリーズで構成されています。
第1回:「昔の写真を見て語ろう」
ちょっと昔の朽木市場周辺の風景や人々、町の様子などの写真を見ながら、「朽木の何が変わって、何が残ったのか」を話し合います。
第2回:「今の風景を撮って昔の写真と比べてみよう」
古写真に写っている場所を参加者が実際に訪ね、写真を撮り、風景や暮らしの中で、変わったもの、変わらないものなどについて話し合います。
第3回:「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」
参加者に「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」を持ち寄ってもらい、この写真を手がかりに、「朽木でずっと残していきたいものとは何か?」を考えます。
第1回で過去を知り、第2回で現在をとらえ直すことで、第3回で未来に向けて働きかけるというのが、この企画の全体像です。
案内人は、地球研の気候適応史プロジェクトの研究員である鎌谷かおるさんです。
鎌谷さんは、歴史学の研究者で、滋賀県高島市マキノ町知内をフィールドに、古文書や民俗資料を用いた歴史研究をしています。
第2回目は、「現在をとらえ直す」ことを目的に、11名の方に参加いただきました。
・古写真の場所を訪ね、現在の写真を撮る。
・写真を比較しながら考えたことについてのグループ別に対話する。
まず、グループごとに違う古写真をお渡しし、その写真と同じ地点・アングルで現在の写真を撮ってくるワークを行いました。
4グループに分かれて古写真を手にそれぞれスタッフの車に分乗し、正解と思われる場所を参加された方々自身が指定して車で向かいました。
8月の日差しの中、この写真はきっとあそこだな・・・と出発されました。あまりに近くではすぐに分かってしまいますので、車で5分くらいの範囲から昔の写真を選びましたが、みなさん確信持って出かけて行かれ、写真を撮って、30分ほどで会場に戻ってこられました。
全員が戻られたところで、正解を確認しました。撮影場所については全てのグループが正解されました。
その後、グループで、昔の写真を見ながら、今の風景を見に行き、考えたこと、気づいたことなどについて対話を行い、お互いに発表しました。
1グループ目は、宮前坊区にある邇々杵(ににぎ)神社の例大祭を写した昭和32年の写真でした。
参加された方は、写真に写っている方の名前まで挙げられていました。
実は、この写真、現在は本殿に移設された鳥居が御旅所にあった当時の写真なんです。現在は鳥居が本殿に移設されており、思わず本殿に向かって写してしまう仕掛けになっていました。このグループも本殿に向かって撮影して来られたのですが、宮前坊の方でもこの写真を見られて「あぁ、昔、鳥居があったんやったー」と気づかれたくらいでした。歴史的な経緯を知らないと難しい問題でしたが、それでもこのグループの方々は、「山の形を最後まで疑問に思っていた」、と言われてました。あと、「蔵は長持ちするな」「馬は長尾から借りてきていた」といった話が対話の中で出たそうです。
2枚目は、高岩橋に至る道路の筋が変わったという写真でした。写真2は現在のものです。この班の対話では、荒川発電所の水路を通って郵便を運んだという話が出たそうで、とても驚きました。
3枚目は、岩瀬の街並みを写した写真でした。
1枚目ほどではないものの、少し向きがわかりにくい写真だと思ったのですが、あちこち回って試すことなく正解の写真を撮って来られました。この班の方によると、「じっさいに同じ場所に立って改めて古写真を見て気づくことがある。シコブチさんのあれ(石碑が見えること)は同じ場所に立たないとわからなかった。」ということでした。この写真は、誰も写っていない、普通の風景の写真です。それだけに、「誰が、何のために(撮ったのか)?不思議だなあ。」という感想を持たれていました。確かに、古写真ということで風景の写真も何気なく選んでいましたが、改めて考えると何で撮られたのでしょう?、とたずねてみたくなりますね。
4枚目は、朽木村制100周年を記念して「グリーンパーク想い出の森」の一画に埋めた「タイムカプセル」の写真でした。
当時の記念写真と同じポーズで写真を撮ってこられました。
今は、すでに消えかかっているプレートを見つつ、タイムカプセルが開くのは50年後の2039年だと聞いて、「誰が覚えているねん」「我々だけでも覚えておかな」という話になりました。また、参加者から、当時のお金や家族の写真などを入れたという話を聞くことができました。
第2回は、古写真の撮影地の現在を見る中で、気づきと疑問を共有できた回となりました。
写真には、それを撮った人、写された人、見る人がいます。こういった人とのかかわりの視点で見ますと、「私」とのかかわり、「過去の人」とのかかわり、「未来の人」とのかかわりということが大事になってくるのではないでしょうか。写真は、単に写っているものとして見るのではなく、こういった時空を超えた人とのつながりを意識しながら見ていけたらよいですね。
参加された方からも「写真1枚にもいろいろな物語がありそう」といった感想いただきました。
また、「1ヶ所だけではなく、時間があればもう何ヶ所か行ってみたかったです。」という感想もいただきました。裏を返せば、皆で同じ体験をして共有することが、やはり重要なのではないか、ということだと思います。
「家にある古写真を探してみたいと思う。」という方もおられました。
それから、「このあとどういう風に、何か『まちづくり』のようなものにつなげていけるのか、ただ昔の写真を見て終わるだけではもったいないと思う」とのコメントもいただきました。重要なコメントだと思います。
古写真のワークショップで得られたことを、次のステップにどのように生かしていくのか、きちんと考えていかなければと思いました。
第1回「昔の写真を見て語ろう」の様子はこちらをご覧ください。
第3回「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」の様子はこちらをご覧ください。
【報告】朽木中学3年生「朽木の未来を考える授業」2日目
【報告】朽木中学3年生「朽木の未来を考える授業」1日目
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その3:朽木の未来に残したいことや今からできることを対話する)
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その2:朽木の市民グループへへ聞き取り)
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)
朽木地域意識調査まとめ~400人の朽木への思い~
【報告】朽木中学3年生「朽木の未来を考える授業」1日目
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その3:朽木の未来に残したいことや今からできることを対話する)
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その2:朽木の市民グループへへ聞き取り)
朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その1:未来への物語づくり勉強会)
朽木地域意識調査まとめ~400人の朽木への思い~
Posted by たかしま市民協働交流センター at 17:11
│たかしま・未来・円卓会議報告