報告!朽木でずっと残していきたいものってなんだろう 世代をつなぐ朽木の今昔写真第1回「昔の写真を見て語ろう」

2016年11月21日

 たかしま市民協働交流センターの坂下です。
 朽木住民福祉協議会と連携し、「朽木のみんなと円卓会議」を運営しています。
 「安心していつまでも朽木で暮せる」地域のために、地域の人々が何ができるのか、どんな将来の朽木地域を描くのか、子どもも大人もともに考え、話し合う場づくりをしています。

「朽木のみんなと円卓会議」の取り組みをご覧ください。

 さまざまな世代の人が朽木の昔を知り、今の朽木を確認し、これからの朽木について考える機会を、60年以上前の写真や最近の写真など、写真を入り口にして取り組みました。
 報告は、「朽木のみんなと円卓会議」を一緒に進める、総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤さんです。

開催案内はこちらです。


朽木で、ずっと残していきたいものってなんだろう
世代をつなぐ 朽木の今昔写真 
第1回「昔の写真を見て語ろう」

日時:2016年7月30日(土)13:30~16:00 
場所:朽木市場集会所


 こんにちは。京都は北区の上賀茂にある総合地球環境学研究所(地球研)の熊澤です。
 
 報告が遅くなりましたが、今回は古写真を使った連続ワークショップの結果についてご報告します。

 今年度の「朽木のみんなと円卓会議」は、朽木で、ずっと残していきたいものや伝えたいものについて、楽しみながら考える場を持ちたいと、古写真(昔の写真)を使ったワークショップ「世代をつなぐ 朽木の今昔写真」を企画しました。この場が、過去の朽木について理解を深めながら、今、そして未来について考えるきっかけとなること、また、古写真を介して、できれば世代間でのつながりを築けるようになることを目標として企画しました。

 今年度は、7月~9月に朽木のなかでも市場、野尻、荒川、岩瀬、宮前坊といった朽木市場に比較的近い地区の写真を用いて市場集会所で行う企画と、10月~12月に針畑地域の写真を用いて針畑で実施する企画の二つを行う計画です。

 ワークショップは以下の3回シリーズで構成されています。
第1回:「昔の写真を見て語ろう」
 ちょっと昔の朽木市場周辺の風景や人々、町の様子などの写真を見ながら、「朽木の何が変わって、何が残ったのか」を話し合います。

第2回:「今の風景を撮って昔の写真と比べてみよう」
 古写真に写っている場所を参加者が実際に訪ね、写真を撮り、風景や暮らしの中で、変わったもの、変わらないものなどについて話し合います。

第3回:「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」
 参加者に「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」を持ち寄ってもらい、この写真を手がかりに、「朽木でずっと残していきたいものとは何か?」を考えます。

 第1回で過去を知り、第2回で現在をとらえ直すことで、第3回で未来に向けて働きかけるというのが、この企画の全体像です。

 案内人は、地球研の気候適応史プロジェクトの研究員である鎌谷かおるさんです。
 鎌谷さんは、歴史学の研究者で、滋賀県高島市マキノ町知内をフィールドに、古文書や民俗資料を用いた歴史研究をしています。

3回のワークショップで用いた古写真は、次の三種類です。
●『朽木村史』(旧朽木村時代の平成16年度から編纂事業が始まり、高島市への合併後の平成22年に発行)の編纂の過程で収集された写真のうち、提供者から使用の許可が得られた写真。
●現地調査を進める中でお借りして使用を認めていただいた写真。
●ワークショップの場で提供いただいた写真。

 それから、この企画を進めるためには、企画者側が、古写真の撮影された時期の朽木のくらしについて、しっかり説明できるようになる必要があります。そこで、市場区および周辺区の過去の生業・生活の状況について12名の方に聞き取り調査を行い、必要な資料収集を行いました。調査にご協力下さった皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。

 なお、今回の連続ワークショップの実施あたり、運営メンバーや地域の方と一緒に予行演習にあたる体験会を実施しました。その様子についてはこちら(http://tkkc.shiga-saku.net/e1271716.html)をご覧ください。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は第1回のワークショップについて報告します。

 第1回目は、「過去を知る」ことを目的に、24名の方に参加いただきました。

 まず、「変化したもの」「変化しなかったもの」をテーマに古写真および現在の写真を見ていきました。
 古写真は、明治期から昭和60年代までの様々な年代のものを取り上げました。
 郵便局の変遷、役場、中学校などの施設、橋などのインフラ、市場区の街並みなどが変化していった様子を見ていきました。とくに市場区のメインストリートを写した古写真では、建物の一部分や「たばこ」の看板など、今も変わらないものがあることを確認しつつ、参加者のみなさんはどこの何を写したものかを次々と当てていかれました。

 次に、4つのグループに分かれて、写真に写っている場所を当てるゲームを行いました。
 お渡しした古写真のうち三枚は、岩瀬の集落の入り口付近、宮前坊にある笹百合荘の付近、下荒川橋のもの。皆さん、すぐに正解されました。岩瀬の集落の入り口付近の写真では、当時の選挙ポスターを拡大して見たところ、「誰やろ?」と笑いが起きていました。
 ベテラン揃いの班には少しいたずらをして大津市葛川梅ノ木付近の写真をお渡ししたのですが、朽木ではないことがすぐにバレてしまいました。

 ゲームの後は「残っていないもの」の写真を見ていきました。
 筏流し、キンマ(木馬:山林の奥深くで伐り出された木材を運ぶための木製のそり)、マンガン採掘、麻蒸し、分校など、今は見られなくなってしまった風景です。
報告!朽木でずっと残していきたいものってなんだろう 世代をつなぐ朽木の今昔写真第1回「昔の写真を見て語ろう」

 最後に、古写真を見て考えたことについてグループで対話を行い、それぞれまとめて発表していきました。各グループからの発表で見えてきたのは、「変わったもの、変わりゆくもの」は何か?「変わらないもの」は何か?ということでした。以下にまとめます。

■変わったもの、変わりゆくものは何か?
・子どもが少なくなってきた。昭和30~40年くらいが子どもが多いピークだった。
・小さいお店がなくなった。映画館がなくなった。
・車が増えた。道路が変化した。
・勤め人が増えた。
・神事の曜日が変わった。小さな集落では神事がなくなった。

■変わらないもの
・景色、自然
・人間の(朽木人としての)気持ち
報告!朽木でずっと残していきたいものってなんだろう 世代をつなぐ朽木の今昔写真第1回「昔の写真を見て語ろう」

 第1回は、こういった形で「変わったもの、変わりゆくもの」「変わらないもの」を共有して終わりました。
 参加者の感想は、
 「少し昔の事など振り返る事ができ、心豊かな時間になった」、「違う角度から朽木を見ることができた」といった、日々の暮らしから少し離れて朽木と向き合えたことを評価してくださったもの、
 「時代の流れを改めて思い返した」「昔の写真を見て、今と変わってしまってさみしく感じた」と、移り変わりをストレートに受け止めていただいたもの、
 「将来に思いをはせることができた」「今後、どのように後世に伝えていくか考えなければならない」といった将来とのつながりを意識されたものなどをいただきました。
 また、第2回、第3回に向けて
 「若い世代の人たちにもぜひ参加してほしいと思った」「グループ分けで、同じような年代ばかりになったので、変えた方がよい」「次の時代にはどうすれば良いか、話し合いたい」といった要望をいただきました。
 これらの要望に応えていくことが、朽木の地域を考えるための企画にとって大事なことと考えます。一つずつになりますが、朽木の今とこれからについて、できるだけ多くの人が考えやすくなるような企画を考えていきたいと思います。

第2回「今の写真を撮って昔の写真と比べてみよう」の様子はこちらをご覧ください。
第3回「私が未来に残したい風景やもの、ことの写真」の様子はこちらをご覧ください。

参考文献
[1]  朽木村史編さん委員会『朽木村史 通史編』, 高島市, 294pp.,2010
[2]  朽木村史編さん委員会『朽木村史 資料編』, 高島市, 264pp.,2010


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Posted by たかしま市民協働交流センター at 15:29 │たかしま・未来・円卓会議報告