朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その3:朽木の未来に残したいことや今からできることを対話する)

たかしま市民協働交流センター

2018年06月07日 09:38


朽木の未来へつなぐ物語づくり報告(その3)

 2017年の「朽木のみんなと円卓会議」は、朽木地域のありたい未来を地域の人々が話し合い、その未来に向かって今からできることを考える機会を作っていきました。

 6月には、未来への地域ストーリーづくり勉強会を開催し、地域の人々が地域の未来について想像し、そこにつながるストーリーを話し合う体験をしていただきました。
 
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 8月から9月、朽木の未来へつなぐ物語づくりを始める前に、朽木で活動する市民グループの方々にお会いして、「朽木らしさ」や「朽木の将来のイメージ」などを聞き取りました。朽木の人々の思いを未来へのつなぐ物語づくりの素材にしました。
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 これまでの朽木のみんなと円卓会議報告もご覧ください(別ウインドウで開きます)

 11月から2018年2月、4回に分けて朽木の未来へつなぐ物語づくりを開催しました。

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 1回目の11月26日(日)、2回目の12月10日(日)、どちらも13:30~16:00、朽木保健センターで開催しました。
 内容は、朽木地域意識調査の結果と朽木地域で活動する市民グループから聞き取った内容を聞いていただきました。そして、参加された方が想像する30年後の朽木に残したいものやことについて話ていただきました。
 残念ながら、イベントが重なったりで、参加してくださったのは、最初の2回でのべ3名。
 でも、じっくりとお話することができました。


 参加されたのは、お二人とも移住された方。朽木で子育て中のお母さんでした。
 朽木らしさや地域に残していきたいものやことについて、いろいろと挙げてくれました。

 これまでの聞き取りと、この2日間でお話してくれた内容をまとめました。

30年後の朽木に残したいもの、こと、暮らし
●何かあったらみんなで駆けつける消防団や地域の人々のつながりを残したい
●ハレの日や法事などで作っていた、朽木の伝統の家庭料理を残したい」
●おばあが働けて、誰でも立ち寄れて、誰かに会えて、子どもも預けられる丸八百貨店を残したい
●人とつながっている安心感、イザという時に声かけあえる人のつながりを残したい
●盆踊り、地域で人が顔を合わせ、一緒にできる行事を残したい
●里山や森林に人の目が向いて、人が関り、人が入れる里山を残したい

30年後の朽木にあるといい仕組み
●朽木で暮したいという移住者を温かく迎え入れ、集落での暮しに入ってもらえる仕組みがある
●地域の人と子どもを結ぶ学校を残したい。少人数でゆったり過ごせる学校を選択できる仕組み
●田畑を使いたい人、里山や森林の維持に関る仕事をしたい人、土地に関りたい人が住める仕組み
●伝統の行事を受け継げるカタチに変えてつないでいく仕組み
●独りになっても安心して暮せる仕組み。一緒に暮せるシェアハウスの仕組み

 3回目の2018年1月21日(日)、4回目の2月4日(日)も13:30~16:00に、朽木保健センターで開催しました。
 この2回は、参加者はのべ12名。年齢は30歳代から60歳代の方々でした。
 
 3回目は、上記の「30年後の朽木に残したいもの、こと、暮らし」「30年後の朽木にあるといい仕組み」を見ていただき、さらに書き加えたいことを出していただきました。また「目的」と「手段」を整理しながら、30年後にあるといい朽木のことを話していただきました。
 4回目は、30年後の朽木に残したいものや仕組みについて、「目的」と「手段」を整理した図を見ていただき、さらに書き加えることなどを話し合ったあと、30年後の朽木に向けて「今からできること」「5年後の朽木」「10年後の朽木」「20年後の朽木」について話していただきました。

 お母さんと一緒に子ども達も来てくれて、とても賑やかになりました。
 「子どもをこんなぎょうさん(たくさん)見たのは久しぶりや~」という声が出てました。



書き加えたこと
●みんながお互いに分かっている安心感が30年後にもあるといい
●山に係われて仕事になるといい。山の木が手入れできて、間伐して、木材を使いたい人がいて、お金が回る仕組みがほしい
●山の境界をはっきりさせる。若い世代が山で働ける
●広葉樹を植えて、しいたけのホダ木にしたり、炭の原料にして仕事につながるといい
●古民家や茅葺屋根の家を移住者や使いたい人が使えるといい。移住者が増えないと先細り
●退職してUターンする人が増えるといい
●山の境界線などを次の世代が引き継げる仕組みが必要
●山の資源の使い方、山菜の知識、炭焼きの技術など山を使うための技術を残す
●朝市の場、誰かに喜んでもらえる場が必要
●朽木でしか学べないことを学べる学校があるといい
●朽木の学校林はどうなってる?保護者もみんな関りたい




 「目的」と「手段」の整理を下記のようにしました。
目的1:人とつながっている安心感、イザという時に声かけあえる人のつながりを残したい
目的1のための手段
○何かあったら駆けつける消防団がある
○ハレの日の伝統の家庭料理を伝える(伝統の家庭料理教室、祭りの機会などで)
○伝統の行事や料理を受け継げる形に変えて受け継ぐ
○おばあが働けて、誰でも立ち寄れて、子どもも預けられる丸八百貨店がある
○盆踊りや地域で人が顔を合わせて一緒にできる行事(運動会なども)がある
○朽木で暮したい移住者を温かく迎え、集落での暮しに入ってもらえる仕組みがある
○独りになっても安心して暮せる仕組み、シェアハウスのような仕組みがある

目的2:人が関り、人が入れる里山を残したい
目的2のための手段
○山の資源の使い方、山菜の知識、炭焼きの技術など山を使うための技術がある
○田畑を使いたい人、里山や森林の維持に関る仕事をしたい人、土地に関りたい人が住める仕組みがある
○朽木で暮したい移住者を温かく迎え、集落での暮しに入ってもらえる仕組みがある
○古民家や茅葺屋根の家を移住者や使いたい人が使える
○広葉樹を植えて、しいたけのホダ木にしたり、炭の原料にして仕事につながる
○山の境界をはっきりさせる。若い世代が山で働ける

目的3:朽木らしい特色ある学校を残したい
目的3のための手段
○地域の人と子どもを結ぶ学校がある
○少人数でゆったり過ごせる学校を選択できる仕組みがある
○学校林に子どもも保護者も関わる

目的4:移住者を増やす
○朽木で暮したい移住者を温かく迎え、集落での暮しに入ってもらえる仕組みがある
○田畑を使いたい人、里山や森林の維持に関る仕事をしたい人、土地に関りたい人が住める仕組みがある
○古民家や茅葺屋根の家を移住者や使いたい人が使える
○少人数でゆったり過ごせる学校を選択できる仕組みがある

 参加者のお話から30年後のありたい朽木の未来として「広葉樹の森が朽木の人と暮らしと伝統をつなぐ」を中心に、目的と手段を図にして、さらに必要なことを出していただき、書き加えていきました。 


盛り上がったお話
 特色ある学校では、朽木でしか学べないことが学べるといい。例えば、山菜のこと、炭焼き、川の生きもの、朽木の暮らしの知恵を持っている地元のおじいや伝統の家庭料理を教える地元のおばあが講師になって学校で教えてくれるといい。「サバイバル力のある子が育つ」という学校になってほしい。こんな学校に入りたいという子どもが学校を選べるといい。そんな学校を目指して、家族で移住する人が来るといい。
 
 広葉樹がたくさんあれば、炭焼きをし、原木しいたけを育てられる。昔はそんな暮らしが朽木にあった。約15年で広葉樹は再生する。広葉樹の森を資源に暮らしていける。山の木の伐り方、炭焼きの仕方、山菜のことなど今から学んでおかないと、教えられる人がいなくなる。こんな魅力的な朽木の暮らしや風景を発信する人がいるといい。明るく、新緑も紅葉も美しい広葉樹の森は観光資源にもなる。朽木のさまざまな魅力を観光資源としてコーディネートして発信したり、提供できる人がいるといい。それも仕事になる。その前に、朽木のみんなが朽木の魅力を知ってるようになるといいのに。
 道路の端の針葉樹は台風や雪で倒れて迷惑。針葉樹の暗い森には子どもも大人も入りにくい。広葉樹の森なら、いろんな人が入ることが出来て、獣害も減るだろう。どうやったら、誰が決めれば、この針葉樹を切れるのだろう? 昔は、もっと川の水が多かった。広葉樹の森になれば水量も増えて、魚も増えるだろう。

 朽木の暮らしやすさは、人がみんな知っていること。丸八百貨店のような、おばあも子どもも安心して寄れる場があるといい。寄り合い処くっつきのような場もあるといい。独りになっても安心して暮らせるといい。年とるとわがままにもなるし、一緒に暮すシェアハウスは難しいかな。昼間は一緒に過ごせて、食事は一緒にできるといい。最期まで人の世話にならないと生きてはいけない。いや、死んでからも最期は人の世話になる。それなら、気安い人の近くに住めるといい。最期まで自分の家にいたいと言ってるおばあの声を聞いている。地域のみんなで見守って、家で最期を迎えられることが選択できるようになるといい。

 人が増えないと先細る。空き家や田畑を移住者や使いたい人に貸せるようにできるといい。特色のある学校があったり、山に関る仕事ができたり、朽木の魅力が発信されて、移住したいという人が来て、地域にも受け入れる雰囲気があるといい。何より、今日のような朽木のこれからを話してることも発信していけるといい。

 今からできること、5年後、10年後、20年後の朽木の姿について、思い浮かぶところから話していただきました。


<今からできること>
●朽木のこと、地域のこと、誰でも気軽に話せる場所(お酒も飲みながら)を作る
●朽木に残しておきたいこと(料理や技術や伝統のこと)などを知っている人のリストを作る誰が、何を知っていて、どうやって残すのかを考えるために
●学校林に植える苗づくりや植樹をもっと頻度を増やす。保護者も一緒にできることで何か関りたい
●炭焼きを学ぶ + 炭焼きの原料の確保の方法も学ぶ
●睦美会のメンバーを募集する
●丸八百貨店をもっと使って、いろんな人に来てもらう
●今ある「朽木のいいこと」を発信して、若い人を呼び込む + 朽木の人が「朽木のいいこと」に気づく

<5年後>
●炭焼きを自分たちでできている + 炭焼きの原料を確保する技術を持っている
●朽木の魅力発信コーディネーターが仕事をしている
●コーディネートする事務所がある
●龍治さんや地域の知恵や技術を持っている人が、月1回は学校で講師をしている

<10年後>
●丸八百貨店を若手(40代くらい)も一緒に運営している
●あたりまえに地域の中で助けあっている
●林業家、フォレスターが増える
●育林の技術を持つ人が増える
●杉の木の価値が上がっている

<20年後>
●道路沿いは全て広葉樹になっている
●朽木が森林の再生と活用のモデルになっている
●朽木の人工林、杉林の半分くらいは広葉樹になっている
●鳥も魚も水も増えている
●朽木と森に魅力を感じて、移住者が増える

 
 みなさんのお話をまとめた30年後の未来の朽木地域の図です。
(画像をクリックすると大きくなります)


 みなさんが話された30年後の朽木地域に向けて、できることです。
(画像をクリックすると大きくなります)


 4回の中では、本当にいろいろなお話をお聞きすることができました。
 物語というカタチにまではなりませんでしたが、世代や年代を越えて、一緒に朽木のこれからを話すという目的には近づけたかと思います。みなさんが話された30年後の朽木地域に向けて、今からできることが、一つでも二つでも実現されるように、お手伝いができればと思います。そんな朽木の人々の歩みが物語になっていくといいなと思っています。

 報告:たかしま市民協働交流センター 坂下

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